スマートキーを紛失した場合、最も気になるのが「一体いくらかかるのか」という費用面の問題でしょう。スマートキーは、単なる物理的な鍵ではなく、高度な電子機器であるため、その作成費用は、従来の鍵とは比較にならないほど高額になります。その内訳と相場を正しく理解しておくことが重要です。費用は、主に「キー本体の部品代」と、「キーの登録作業費」の二つで構成されます。まず、「キー本体の部品代」です。スマートキーは、内部にトランスポンダチップや電子基板を内蔵しているため、部品代そのものが高価です。国産の一般的な車種でも、キー一個あたり、二万円から四万円程度するのが普通です。高級車や外車になれば、五万円以上することも珍しくありません。次に、「キーの登録作業費」です。スマートキーは、単に物理的な形状を作るだけでは機能しません。そのキーが持つ固有のIDコードを、車両本体のコンピューター(ECU)に、専用の診断機を使って登録(ペアリング)するという、専門的な作業が必要になります。この作業の工賃が、一万円から三万円程度かかります。これらの部品代と登録作業費を合計すると、スマートキーを一本作成するための総額は、最低でも三万円台後半から、車種によっては十数万円に及ぶことも、十分にあり得るのです。もし、鍵屋に出張で依頼した場合は、これらの費用に加えて、さらに「出張料金」や、鍵穴からメカニカルキーの形状を作成するための「鍵作成費」が、上乗せされることになります。また、紛失したキーが悪用されるのを防ぐために、車両側のコンピューターを交換する必要がある、と判断された場合は、費用はさらに跳ね上がります。たった一つのスマートキーの紛失が、いかに大きな金銭的ダメージをもたらすか。その現実を、私たちは認識しておく必要があります。
スマートキー紛失にかかる費用の全知識